島根県立石見海浜公園にある水族館
しまね海洋館アクアス

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しまねの海の仲間

あおざめ騒動記②

2010.03.10 - しまねの海の仲間

前回のつづきです。

この漁船には、船体中央に大きな活魚水槽が備え付けてあり、

この中にサメが入っています。ゆれる水面に顔をつけるように

して、ぎりぎりと水の中をにらみつけます。

 「んん?やばい、沈んどる!」

 熱視線でにらみ殺してしまったか?動く気配がありません。

 気落ちした次の瞬間、砲弾のようなサメの頭が鼻先を

 かすめて行きました。

 ヤバそうな下アゴの歯がはっきりと見え、尾の特徴的な

 フォルムも確認できました。「アオザメ」です。

 生きています。

 ヨシキリザメでなかったことに一瞬落胆しましたが、

 水族館へ運ぶため、すぐに次の行動に移ります。

 漁師さんの手を借りて、トラック荷台の水槽へ 

 アオザメを移動します。

 漁師さんの好意と期待に応えるのが飼育員の矜持

 とばかり、帰りの道のりを(法定速度内で)急ぎました。

 

 水族館へ到着。

 同じ魚類担当のFくんが迎えてくれました。

 トラックの水槽を開け、二人して状態の確認をします。

 う~ん、沈んどるな・・・。

 急いだとはいえ、定置網で漁獲されたこのサメがここに

 至るまで2時間半。

 遊泳性の強いアオザメには大変な負担です。

 このまま標本にするのは忍びないので、予備の水槽に

 入れて様子を見ることにしました。

幸いエラもよく動いて呼吸をしています。

背ビレと尾ヒレをつかみ、泳いでいるかのように強制的に

体を振ってやります。同時に顔の前から手で扇いでエラへ

水流を送ってもらいます。

これまでにも幾多のサメを救ってきたゴールデンコンビに

よる蘇生術です。

 

ひたすらゆすって、ひたすら扇いで、サメより人間の体力が

限界に近づいた頃。

ついにその瞬間がやって来ました。

 

・・・もう一回だけ、つづく。

改め、チャッキーを改め、呶々にしました。