島根県立石見海浜公園にある水族館
しまね海洋館アクアス

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ペンギン

“王様の食糧問題” の巻

2011.09.19 - ペンギン

「敬老週間」真っ只中のアクアスです。

館内はいつもよりたくさんのおじいちゃんおばあちゃんたちでにぎわっています。

この敬老週間中は、ペンギンのお食事タイムでの解説が、いつもよりとっても話しやすいんです。

おじいちゃんおばあちゃんたちは、飼育係の話を本当によく聞いてくれます。

そして、うなずいたり、驚いたり、笑ってくれたり、もうこちらが欲しい反応を全部出してくれる。

だから、話すのがめちゃくちゃ楽しくなります。

思わず「綾小路ぺんまろ」になった気分で解説している私(笑)

 

 

さて、本題。

 

王様に危機が迫っておりました。

そう。オウサマペンギンに、ある危機が忍び寄っていたのです。

 

アクアスでは通常、オウサマペンギンには「ホッケ」という餌を与えています。

お父さんには居酒屋でおなじみ?のこの魚です。

 

このホッケ、なんと今年の春の漁期に、「不漁」 の通達が来たのです。

過去に、希望サイズの魚や品質の良い魚の入手が難しくなったことはありましたが、まったく入手が不可能になったのは、ペン兄の水族館人生でも初の経験でした。

アクアスではホッケは、シロイルカやアザラシにも餌として使用していたんですが、シロイルカ、アザラシともに、他の魚でも難なく食べてしまうので、サバだったり、シシャモだったり、アジだったり、他の餌への切り替えが比較的スムーズだったのです(ホッケと同様のカロリーにするのに苦労はしたようですけど)。

でもオウサマペンギンには、ペンギン館オープン以来、ホッケしかあげたことがないんです。ホッケ以外はお召しになったことがない王様なのです。

王様は当然プライドが高いもので、簡単には他のお食事を受け付けてくれそうにありません。

 

そこで、餌の仕入れ担当者が必死に探してくれたのが、この魚。

見たことありますか?ないですよね?

めったにお目にかかれない「スケトウダラ」という魚です。

なんとなく聞いたことがある名前でしょ?

たぶん、みなさんこのスケトウの子は食べたことがあるはず。

「明太子、たらこ、の親にあたる魚」と紹介した方がわかりやすいかもしれません。

 

成分分析結果ではほぼホッケと同じカロリーであることが判明しました。が、問題はその大きさ。

ホッケより、かなり小ぶりなんです。ホッケが1本150g前後になのに対し、スケトウダラは60g前後。

しかも何かあんまりおいしくなさそう…(人間目線でですが)

 

ついに8月上旬、ホッケの在庫がほとんどなくなり、スケトウダラに切り替わる日が来ました。

私たち飼育係が、しずしずと王様にスケトウダラを献上します。おなかの減っている王様たちが堂々と近寄ってきます。

 

飼育係:「どうぞ 王様 新鮮なスケトウでございます。」

王様:「うむ…  (パクッ)」

飼育係:「・・・。(汗)」

王様:「・・・。 おえっ! 無礼者!このようなまずいものが食えるかっ!ぺっ!ぺっ!」

飼育係:「・・・あ、やっぱりね (ため息)」

 

と言うわけで、数日間は王様のご機嫌がすこぶる斜めで、お食事タイム中にぺっぺ!ぺっぺ!とスケトウダラを捨てまくっている状態だったのです。

でもこの王様は「はらぺこペンギン王国」の国王たちなので、数日間のハンガーストライキを経て、ついにスケトウダラをパクパク食べ始めたのでした(意外にあっさり降伏していただけました)。

今では「うむ、今日のスケトウもなかなか良い味じゃ」とばかりに、連続でバックバク食べております。

 

ほっと胸をなでおろしたペンギンスタッフですが、一難去ってまた一難。

今度は「スケトウダラ 入手困難」の通達が…(汗)

そして、「ホッケ 捕れ始めました」 との情報も。

 

このあと、スケトウの在庫がなくなって、ホッケに再度切り替えた時のオウサマペンギンの反応は・・・?

 

王様:「ぺっ!ぺっ!なんじゃこの大きな魚は!無礼者!」

 

と言うに違いない・・・(汗)