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シロイルカ
ナスチャ&アリ子 同居チャレンジその1
2025.03.02 - シロイルカ
今日は、2月中旬から始まったナスチャとアリ子の同居チャレンジについてのお話です。
文章ばかりになりますが最後まで読んでいただけると嬉しいです。
アリ子の生後10日目で母アーリャが亡くなったとき、たくさんの方から
「ナスチャと一緒に暮らさせてあげてナスチャからおっぱいをもらってほしい」とのご意見をいただきました。
もちろん私たちも、それは真っ先に考えました。
少し話が遡りますが、
一昨年の秋ごろにアンナとアーリャの妊娠がわかってから出産に備えていくなかで、
母獣の育児拒否や万が一の体調不良・死亡までも想定して、
今回妊娠していないナスチャに乳母となってもらえるようにたくさん考えて準備をしてきました。
不測の事態がおこったときにどの個体がどんな方法でどこのプールに移動するのがベストかを何度も話し合ったり、
ほかの水族館さんにアドバイスをいただきながら授乳トレーニングを行ったり。
そして6月24日にアンナがオスの赤ちゃん(通称:アンナ子)を予定日と大差なく出産した翌週の7月1日、
アーリャがメスの赤ちゃん(通称:アリ子)を予定日より1か月以上早く出産しました。
出産兆候を感じ取れぬまま、予定になかったサブプールでの急な出産となったため、バタバタとしましたが、
出産の1時間後にはアンナ母子・アーリャ母子・ナスチャの計5頭のメインプールでの同居を開始しました。

ところがナスチャは、アンナ子と並泳するものの授乳行動が起こらないという時間が長く続きました。
アンナはそこに割って入ることができず、このままこれが続けばアンナ子はお乳をもらえずに衰弱してしまいます。
衰弱してしまったら、アンナのもとに戻れたとしても泳ぎについていくことができなくなってしまうかもしれません。
その最悪の事態を避けるため、ナスチャをサブプールへ戻すことになりました。
ナスチャが分かれたあと、幸いにもアンナ母子の授乳は回復し、ほっとしたのも束の間、
アーリャの不調が続いていたためか、今度はアリ子がアーリャから離れて泳ぐことが増え、
アンナから激しく威嚇されて噛みつかれるというトラブルが起こりました。
アリ子は脱皮前で厚い皮膚に覆われていたためかひどい傷にはなりませんでしたが、
アーリャの不調を改善するためにもアーリャ母子を治療プールに移すことにしました。
そして、治療プールでアーリャの体調回復に努め始めた矢先、アーリャが急死…それは出産から10日後のことでした。
残念ながらアーリャが亡くなったあと、私たちにはいくつかの選択肢がありました。
・アンナ母子のいるメインプールにアリ子を戻して、アンナからの授乳に懸ける
・ナスチャとサブプールで同居させてナスチャからの授乳に懸ける など。
しかし、体調を崩していたアーリャから十分なミルクをもらっていなかったアリ子には猶予がありませんでした。
とにかくまずは残されたこの命をなんとしてでも繋いでいく、そのために選べるのは”人工保育”しかありませんでした。
さらに人も動物も安全に人工保育に取り組むためには1日に何度も水深を浅くしなければならず、
ナスチャの生活の質を確保するためにも、ナスチャとの同居という選択肢も選ぶことはできませんでした。
いつも応援してくださっている皆さまの中には
「1頭だけで過ごさせてかわいそう」「どうしてナスチャと一緒にしてあげないの」と思っていた方もおられるかと思います。
しかし、あのときに下した人工保育という決断やそこからの半年間は、
たしかに間違っていなかったと、生後8か月が経過した今、わたしたちは思っています。
ただ、アーリャの死に関してはそれぞれのスタッフが後悔や自責の念を今も持っており、
今後にどう活かしていけるかを日々考えながら動物たちと向き合っています。
うれしいことに、2頭の子獣は今のところ健やかに成長してくれ、
アリ子は1月末でミルクを卒業して成獣と同じく栄養を魚で摂取するようになりました。
続くアリ子の第2関門は、“他個体との同居”です。
前置きだけで長くなりすぎてしまいました、申し訳ありません・・・・。
次回で本題についてお話させてくださいね。
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