島根県立石見海浜公園にある水族館
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シロイルカ

痩せた理由(話せば長~くなりますが)

2010.06.23 - シロイルカ

前回、思わせぶりな振りだけで終わっていました!

あの話の続きです!

アリ仔ちゃんは去年の8月3日生まれ。ということは、現在10カ月と少し。

まだまだお母さんのアーリャに甘えたいばかりの仔どもです。

図鑑をみると、シロイルカの授乳期間は約2年と書いてあるのをよく目にしていましたし、ほかの水族館での繁殖例を見ても2年以上授乳が続いている例が多く見受けられたので、アーリャとアリ仔ちゃんも、きっとそうなんだろうと思っていました。

だから、わたしたちが積極的に介入しなくてはならなくなるのは、早くとも1年過ぎたあたりからで、それまでは親子をそっと見守るだけと考えていました。

ところが、、、

ゴールデンウィークの半ばころから、急にアーリャの様子に変化が出始めました。

アリ仔ちゃんが哺乳のためにアーリャの腹の下につこうとすると、急に体をひねって避けたり、授乳中にもかかわらず、早く泳いで振りきったり、、、ひどくなると、わが仔であるアリ仔に対する威嚇も急激に増え、体当たりまでするようにもなりました。

お母さんなのに、どうして?!見ているこちらまで、アリ仔が哀れにおもえるほど、それはひどい仕打ちにも見えました。

血液検査や行動を観察した結果、その豹変の理由は、アーリャの発情だと推察されました。

理由が分かっても、それを止めて押さえるすべはなく、間接的な介入しかできずに、スタッフはやきもきする毎日でした。

日に日に、アリ仔ちゃんは痩せてきます。

それもそのはず、授乳時間は普段の1/4以下にまで減少したまま、何日も過ぎていました。

アリ仔ちゃんも体がつらいのか、浮いて過ごす時間が増え、積極的に遊ぶ姿は徐々に見られなくなってしまいました。

普段は抜くことのない展示プールの水を抜き、8人がかりでアリ仔を捕まえて、血液検査や強制補液・強制哺乳もしました。

でも、アーリャの母乳に比べたら、わたしたちが与える代わりの人工乳は栄養も十分でなく、与えることのできる量も少ないものです。これだけで回復させることは、そのやり方、そのミルク、その回数では不可能でした。

もうこれ以上痩せ続けたら、体の機能がうまく働かなくなるかもしれない。スタッフにも焦りが見え始めていました。

祈るような気持ちで、遊びの中で水やミルクを飲んでくれないか、餌の小さなお魚を食べてくれないか、試行錯誤を続けていました。

そして、忘れもしません、5月21日の朝、口の中に入れたシシャモを初めてアリ仔が飲み込んだのです。生後9ヶ月半での初摂餌でした。

今までミルクだけ飲んできたアリ仔の消化能力を考えて、次々餌を与えたい気持ちを押さえて計画的にやらなければなりませんでした。

でも、アリ仔の体の蓄えはもうわずかとなっていて、猶予はありませんでした。

そんな中、アリ仔は、こちらが驚くほどにスムーズに餌を食べ続け、その後、回復へと向かいました。

母イルカ、アーリャの発情での行動変化は、そのまま1か月ほど続きましたが、授乳が減った分をアリ仔ちゃんは餌のお魚で補うことができたのです。

最近になって、ようやく授乳時間も再び伸び始め、昨日には通常の2/3程度の時間まで戻ってきました。

それでも、アリ仔ちゃんの食欲は衰えず、今日も餌のお魚をぱくぱく食べています。

↓ トレーナーを前に、ちゃんと待つアリ仔ちゃんです。

シシャモをもらって、、、

ごっくん。今日もしっかり食べています。

予期していなかったトラブルでしたが、ドキドキさせられたことも、わたしたちにとっては本当にいい経験になりました。

1年を待たずして、餌の魚をしっかり食べれるようになったアリ仔ちゃん、なんだか頼もしくなったように見えるのはわたしだけでしょうか?

みなさんも、少し大人の顔つきになったアリ仔ちゃんを、ぜひじっくり観察してみてください!