島根県立石見海浜公園にある水族館
しまね海洋館アクアス

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ペンギン

家出ペンギン

2011.03.29 - ペンギン

今朝、出勤していつものように「おはよー」と声をかけながらペンギン館を見回っていました。

ペンギン館専用の長靴にはきかえ、営巣室(巣の裏側の部屋)もチェックします。子育てしているペンギン、卵を温めているペンギンにそれぞれ声をかけていきます。

「おはよー」

「おはよー」

「おはよー」

「おは?・・・あれ?いない。ペンギンの赤ちゃんが1羽いない…」

 

まもなく巣立ちを迎えるであろう3羽のひなのうち、1羽が巣にいないのです。最近は巣からちょっと出ていることもあったので、巣の表側にも行って探しましたが、どこにもいません。

「まさか、プールに落っこちたんじゃ…」

不安になったペン兄は、プールで泳いでいることを願いながら探し続けます。

「いない… まさか沈んじゃってるのかも…」

思考回路はとことん下向き。ペンギン館1階までダッシュして、最悪の状態のひなを探します。

「いない… まさかハシゴにひっかかってるのかも…」

ハシゴとは、プールの底に人が下りれるように、プールにはじっこに設置しているタラップです。その隙間にペンギンのひながひっかかっちゃってるのではないか、そう考えたペン兄は今度は再びペンギン館2階に猛ダッシュ。

「いない…」

いったいペンギンの赤ちゃんはどこにいってしまったのでしょう…。

まさか、トンビに連れ去られたとか…。もう神隠しとしか思えません。

 

そこによっしー登場。ひなが1羽行方不明であると伝えると、ペン兄同様、ダッシュで探し出しました。

そしてよっしーがもう1回巣を確認してみると…。

「いましたー」との声が。

「どこにっどこにーっ!!」 うれしさというより驚きのペン兄。

「6号室にいます」

「え?6号室??」

そうなのです。行方不明だったペンギンは巣穴の番号が「2号室」という巣ですくすくと育っていたのですが、別の巣に移動していたのです。

これだけだと「なーんだ、ひながちょっと冒険しただけでしょ?」という話なのですが、謎はここからなのです。

発見された「6号室」には別のペンギンが子育てをしている巣なんです。しかもその巣のお父さんペンギン「12番」は、アクアスのフンボルトペンギンの中で最恐のペンギン。何度も飼育員が噛まれまくっているペンギンです。しかも子育て中なのでいつも以上に気性が荒くなっています。巣材の交換をしたあとは自分のひなにも攻撃してしまった経歴の持ち主です(汗)。

そんな最恐の巣に入り込んでいるなんて。赤の他人、いや赤の他ペンのひなの横で「きょとん」とした表情でこちらを見上げていました。

フンボルトペンギンは普段は自分の結婚相手のペンギンしか巣にいれません。他のペンギンが巣をのぞきこもうとしただけで大ゲンカになります。おそらく他のペンギンのひなに対しても攻撃するはずなんです。それがどうしてこの家出ペンギンはちゃっかり他ペンの巣に入れたのでしょう?そして最恐ペンギン「12番」はなんで他ペンのひなを受け入れちゃったのか???

とりあえずすぐに元の巣「2号室」に戻しましたが、謎が謎を呼ぶ事件でございました。慌てすぎて画像の1枚も撮れていません…。